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大きなクリの木の下で
第1章 初めて見せた弱さ

「今後の治療方針としましては…」

手術をして欲しいと訴えた静香の言葉を無視して医者は淡々と言葉を繋いでゆく。
それは暗に手術は手遅れだと申告しているに等しかった。

「薬物療法というよりも、患者さんの体の負担も考慮して緩和ケアでなるべく痛みを伴わないように…」

緩和ケア…
その言葉だけで末期癌だとわかる。
すでに終末期に及んでいることを意味していた。

「先生、私の命はあとどれぐらいなんでしょうか?」

宗一が覚悟を決めたかのように余命宣告を申し出た。

「おそらく…3ヶ月もしくは2ヶ月かと…」

医者としても余命宣告をするのは心苦しいのだろう。
宗一や静香と目を合わさずに言いにくそうに声のトーンが小さくなった。

「そうですか…それでは残されたわずかな時間ですがよろしくお願いします」

覚悟を決めた人ほど強いものはない。
澄んだ宗一の瞳には静香と愛し合うことが出来たのだから悔いというものはないと物語っていた。

しかし、諦めきれないのは静香の方で、
医者の腕にすがるようにしがみついて「何とか、何とか助けてください」と泣き叫んだ。

「静香、よしなさい。先生が困っているじゃないか
命には限りってものがあるんだよ
それがほんの少し早いってもんだよ」

宗一は静香の肩を抱いて立ち上がり「先生、どうぞ残りの時間をよろしくお願いします」と頭を下げた。

「少し落ち着かれるまでこの部屋をお使いになってかまいません」

泣き崩れる静香に「私たちも精一杯ケアさせていただきますので」と言い残して足早に部屋を出ていった。

「とんでもないバチをもらっちゃったなあ…
きっと君のご両親がお怒りになっているんだよ
大事な娘に手をかけるなんて不届き者め、こっちに来て謝りに来いってね」

そんなジョークも今の静香には笑えない。
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