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大きなクリの木の下で
第1章 初めて見せた弱さ

それから2ヶ月は、あっという間に過ぎ去った。

一分一秒でも宗一の元で過ごしたかったが、
新刊の発売に向けて仕事は待ってくれなかった。
静香の性格からして仕事をほっぽりだして彼の元に行けなかった。
宗一もまた、校正の仕事が静香の生き甲斐だと知っているだけに「病室に来ても何もすることはないだろ?」と、そんな暇があったら仕事に打ち込みなさいと尻を叩かれた。

そして、新刊の準備が整い、後は発売を待つだけという段階になって、静香のスマホが震えて病院からの呼び出しを受けた。

- お父様の容態が急変しました。なるべく早く病院へお越しください -

「そんな…!長くて3ヶ月と医者は言っていたのに!
2ヶ月を過ぎてまだまだ生きていてくれると信じていたのに!」

タクシーに飛び乗ったものの、涙が止まらない。
そんな静香の様子にドライバーは一大事だと察してくれて、かなりのスピードで走ってくれた。

静香が病室に飛び込むと、医者が宗一の体の上に乗って心臓マッサージを施してくれていた。
汗だくになって髪を振り乱さんばかりに一心不乱に心臓マッサージをしている。
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