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大きなクリの木の下で
第1章 初めて見せた弱さ

「先生、娘さんが到着されました」
ナースの呼び掛けに医者は悔しさを滲ませた顔をしながら宗一の上から降りた。
たちまち心電図の波形が直線に変わった。
きっとかなり前に心停止したのだろうが、
医者は温かい体の宗一とお別れをさせてあげたくて必死に心臓マッサージを続けてくれていたのだろう。
「あなた!!」
静香は初めて宗一を「お父さん」ではなく、伴侶として「あなた」と呼び掛けた。
握りしめた手は温かく今にも「よぉ、来てくれたのかい?」と起き出しそうだった。
瞳孔を確認して、聴診器で心停止を確認したのち「午後3時22分…ご臨終です」と柔らかい声で静香に告げてくれた。
「いやぁ!!あなたぁ!起きて!目を覚ましてよぉ!!」
静香は遺体にすがり付いて泣き崩れた。
嗚咽はいつまでも止まらない。
ナースは申し訳なさそうに「お父様のお体を綺麗にさせていただきますので…」とエンジェル手当てをさせてもらうので廊下でお待ちくださいと促された。
それから慌ただしい時間が流れた。
葬儀屋が「ご愁傷さまです」と頭を下げながらも、葬儀の段取りについて事務的に説明してくれた。
思考能力の停止した静香は、ただ「お任せします」とうなづくだけだった。
ナースの呼び掛けに医者は悔しさを滲ませた顔をしながら宗一の上から降りた。
たちまち心電図の波形が直線に変わった。
きっとかなり前に心停止したのだろうが、
医者は温かい体の宗一とお別れをさせてあげたくて必死に心臓マッサージを続けてくれていたのだろう。
「あなた!!」
静香は初めて宗一を「お父さん」ではなく、伴侶として「あなた」と呼び掛けた。
握りしめた手は温かく今にも「よぉ、来てくれたのかい?」と起き出しそうだった。
瞳孔を確認して、聴診器で心停止を確認したのち「午後3時22分…ご臨終です」と柔らかい声で静香に告げてくれた。
「いやぁ!!あなたぁ!起きて!目を覚ましてよぉ!!」
静香は遺体にすがり付いて泣き崩れた。
嗚咽はいつまでも止まらない。
ナースは申し訳なさそうに「お父様のお体を綺麗にさせていただきますので…」とエンジェル手当てをさせてもらうので廊下でお待ちくださいと促された。
それから慌ただしい時間が流れた。
葬儀屋が「ご愁傷さまです」と頭を下げながらも、葬儀の段取りについて事務的に説明してくれた。
思考能力の停止した静香は、ただ「お任せします」とうなづくだけだった。

