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大きなクリの木の下で
第1章 初めて見せた弱さ

「ねえ、おにいさんたち、その辺でやめておいたら?
彼女、いやがってるじゃん」

暗がりから一人の男性が現れて、男たちを制してくれた。
誰?でも、この声…聞いたことのある声…

ぐるぐる回る視界でハッキリと姿が見えない。
でも、その人のお陰で男たちは静香から離れてくれた。

「なんだぁ?てえめはよぉ!」

「邪魔すんじゃねえよ!今からいいとこなのによ!」

「怪我したくなかったら、とっとと通りすぎやがれ!」

男たちは多勢に無勢ということで鼻息も荒く、静香を助けに来た男を打ちのめそうと考えていた。

「やめておいた方がいいんじゃない?」

聞き覚えのある男性も売られた喧嘩なら買ってやろうじゃないかと一歩も引き下がらない。

「やっちまえ!」

一人の号令で三人の男が次々と助けに来た男に襲いかかる。

静香を助けに来た男はズボンのポケットに手をいれたまま
軽い身のこなしで男たちのパンチを軽々と避けてゆく。

「チョロチョロしやがって!
いいから三人がかりでやっちまえ!」

左右から男二人が向かってきて、一人は彼の背後から羽交い締めにした。
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