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大きなクリの木の下で
第2章 二人だけのディナー

「意外だなあ…君があいつを庇うなんて。
でもまあ、君の言う通りかもな…
でも、明日も明後日も勤務態度が悪いようなら、そのときはしかるべき処置を取らせてもらうからね」

部長に一礼して、自分のデスクに戻る時に、
ソッと竹本に近づいて「ごめんなさい…勤務時間、もう少しだから頑張ってね」と声をかけたのだが、余計なお世話だとばかりにプイッと席を立って静香から遠ざかった。

そんな気まずい空気も日数と共に薄れてゆき、
父の49日法要も無事に済ませたある日、
静香は一切のけじめをつけようと、いつものように休憩室でボーッとしている竹本に思いきって声をかけた。

「あの…あの時のお礼をちゃんとしたいの…」

「お礼?そんなものはいいですよ」

「だめ、私の気持ちがスッキリしないの。
ね、今夜は暇かしら?あの時のお礼に夕飯をご馳走したいのよ」

「暇ですけれど…お礼なんていらないですから」

「ダメダメ!私の気持ちが悪いのよ」

「そうですか?そこまで仰ってくれるのなら…」

ようやく受け入れてくれたことにホッとして、
周りに誰もいないことを確認すると「これ、私の住所だから」と
アドレスを書いたメモを彼に握らせた。
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