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大きなクリの木の下で
第2章 二人だけのディナー

何がなんでも彼を招待する必要があった。
なぜなら、今夜、自宅に招くためにたくさんの料理の下ごしらえをしてあったからだ。
金曜の夜ということもあって、
同僚たちは飲み会をするんだとかで繁華街に繰り出して行ったけれど、静香は帰り道を急いだ。
本来ならば、どこかのレストランで食事でも…と頭をよぎったが、どこの誰に遭遇しないとも限らないし、どのような関係なのだと根掘り葉掘り聞かれるのも面倒だったから、誰にも会うことのない自宅での食事を選んだ。
「さあ、急いで仕上げなきゃ!」
普段はおっとりしている静香だが、自分でも驚くほどてきぱきと料理をこしらえた。
バタバタしながらも、いつしか鼻歌なども口ずさんでいた。
誰かのために料理をする楽しさをようやく思い出した気分であった。
「これでよしっ!」
テーブルの上が賑やかになった頃、
タイミングを推し測ったかのようにインターホンが鳴った。

