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大きなクリの木の下で
第2章 二人だけのディナー

- すいません、図々しくお邪魔しに来ちゃいました -

図々しくもなにも、静香から誘ったのだから堂々と訪問してくれればいいのに、律儀な挨拶をする竹本になぜか好感を持ってしまっている自分に驚いた。

「どうぞ、お入りになって」

人を招き入れるドキドキ感が心地いい。
しかも女友達ではない。男性を自宅に招き入れる事がこんなにもドキドキして、ワクワクするんだと、このときばかりは父を失った喪失感を忘れさせてくれた。

「こ、こんばんは…」

玄関を開けて招き入れるや否や、
竹本は静香の姿を見て赤面した。
エプロンを外すのを忘れてしまっていたのだが、
それが妙に色っぽくて竹本は目のやり場に困った。

目を合わそうともしない竹本に、静香もエプロン姿のままだったことに気づいた。

「ご、ごめんなさい、私ったらこんな格好で出迎えちゃって…」

泥酔での失態といい、今回のドジっぽさといい、
静香は穴があったら入りたいほど情けなかった。

「いえ、その逆です。エプロン姿、とても素敵で目のやり場に困ってしまいました」

顔を真っ赤にしながら「あ、これ、良ければお父様の祭壇にでも飾ってください」と白い百合の花束を差し出してくれた。

「まあ!かえって気を使わせてしまって…」

静香は竹本にますます好感を持った。
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