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大きなクリの木の下で
第2章 二人だけのディナー

戸惑う静香にハグしようとしかけて、
玄関に男物の靴が揃えて置かれている事に気づいた。
「あら、珍しい…あんたが男を連れ込むなんて」
「連れ込むだなんて人聞きの悪い言い方しないでよ」
まるで女性漫才師のように早口でやり取りしながら、
二人の女性がリビングにやってきた。
「あら~、いい男を捕まえたじゃない」
てっきり竹本を静香の彼氏だと思ったのか、
そんなことを言いながら肘で静香のわき腹を突っついた。
「はじめまして…彼氏ではなく会社の同僚です
竹本、竹本伸和と申します」
「なぁ~んだ、てっきり彼氏とイチャイチャタイムにお邪魔しちゃったのかと思ったわ」
まあ、そんなのはどうでもいいわと
美代子はビールの6本パックの2ケースをどかっとテーブルの上に置いた。
「会社の同僚にしてはご馳走が並んでるじゃない」
ニヤニヤしながら、美代子は静香と竹本の顔を交互に見た。
「以前にお世話になったから、そのお礼に夕食に誘っただけよ」
とんだ邪魔が入ったなと「それじゃ、僕はこの辺で…」と席を立った。
「あら?私の事など気にしなくていいのよ
泊まるつもりだったんでしょ?もう終電もないし」
うっかりしていた。
これでは帰るに帰れない。

