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大きなクリの木の下で
第3章 同窓生の美代子

「あら?意外と早かったのね」

「まあね、深夜の首都高はガラガラだし、かっ飛ばして来たわ」

竹本くん、車酔いしていないかしら?…

美代子の運転は性格そのもので、
とにかく荒っぽい。
常に急ブレーキ、急発進だし、
首都高を走らせれば蛇行しているのかと思うほど頻繁に進路変更をするものだから、いつも事故を起こさないかとヒヤヒヤさせられる。

「ごめんね、彼を送ってもらって」

「いいの、いいの。
あの人が居たって別にかまわないんだけどさ
やっぱ、女子会に男は不要だし、話しにくいことも話せるしね」

美代子は先ほどまで竹本くんが座っていた場所にドカッと腰を降ろすと、缶ビールを一本取り出してプシュっと心地よい音を立ててリングプルを引き上げた。

「で…竹本さんだっけ?
彼の事なんだけどさ…」

缶ビール一本を一気に飲み干して、2缶目に手を伸ばしながら
立て板に水のごとくいつもは流暢に話す美代子が少しだけいいよどんだ。

「彼が?何?なによ、言いたい事があるんなら言いなさいよ」

静香も付き合いで缶ビール一本のリングプルを引き上げて一口だけ喉に流し込んだ。
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