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大きなクリの木の下で
第1章 初めて見せた弱さ

父の宗一が「バチが当たった」というのは
戸籍上は養女として静香を娘に迎えておきながら、
肉体関係にあることだった。
宗一の元に引き取られ、
あと一年ほどで高校受験を迎える静香は環境の変化から、著しく成績を落としていた。
奥さんと離婚して子供のいなかった宗一は、
いきなり中学生の娘との生活に苦悩していた。
美しくスタイルのいい若い女性と一つ屋根の下で暮らすということが、こんなにも悶々とすることなのかと悩んだ。
料理の苦手な宗一は家事の分担として洗濯をチョイスした。
洗濯ならば全自動で干すだけなのだから自分にも出来ると静香に申し出た。
「ありがとうございます、じゃあ、こうしません?
お料理は私が担当しますから、洗濯はおじさま…じゃなかった、お父さんが引き受けていただけます?お掃除は二人の協同で…」
なるべく、宗一を『お父さん』と呼ばなくては思ってはいるのだが、ふとした瞬間に今まで呼び慣れていた『おじさま』と呼んでしまう。
そう呼ばれる度に宗一の顔が曇るので、早く本当の家族にならなければと常々感じていた。

