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大きなクリの木の下で
第4章 文豪 中岡清史郎

「おそらく先生は新作でイメージ打破を試みて濡れ場を描かれておりますが…素人目からしてもおとぎ話というか、リアリティがございません。それゆえ、文法がめちゃくちゃになっております」
「ううむ…お前はなんという名だ」
「申し遅れました、わたくし、校正を担当させていただいております雨宮と申します」
ようやく落ち着いて話し合いが出来る雰囲気になったと、
満を持して静香は名刺を差し出した。
「雨宮…静香…ふぅ~ん、名前によらずお前は口だけは達者なようだな」
わかった、お前とは腹を割ってゆっくりと話し合おうじゃないか
そう言うと「君、このあとはこいつと二人だけでミーティングをするから、君はもう帰りなさい」と編集の男に向かってシッシッと犬を追い払うかのように手を振った。
「いえしかし、担当編集者といたしましては…」
「帰れと言っておるんだ!」
中岡に一括されて、話がこじれては具合が不味いと思ったのか
「雨宮くん、くれぐれも先生に粗相のないようにな」と静香に釘を刺すと「では先生、のちほどまたご連絡を差し上げます」と、そそくさと中岡邸を後にした。
「邪魔者は追い払った。
さて、お前とはざっくばらんに話そうじゃないか」
和装なのに大股開きでふんぞり返るものだから、
着物の裾が割れて白いブリーフが目に飛び込んできたので、静香は目のやり場に困った。

