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大きなクリの木の下で
第5章 拉致監禁

訪問するために同乗したタクシー内でも
ずっとその事を考えて、知らず知らずのうちに無口になっていた。

美代子のマンションの部屋は施錠されたままだった。

「もしかしたら、海外にでも旅行に行っているんじゃ…」

「仮にそうだとしても、あの子の性格からして
自慢げに『旅行に行くの』って言うはずよ」

それはそうかも知れないけど…

「じゃあ、急病で入院しているのかも…」

「それはないわ。
彼女の実家に連絡したら『そう言えば最近、音沙汰なしね』ってお母さまが言っていたもの…
急病で入院したら、病院が調べて実家には連絡するものでしょ」

確かに静香の言う通りだ。

「じゃあ、独り暮らしだから部屋で倒れているとか…」

言ってから『しまった』と思った。
静香もそのような事を考えていたのか「バカな事を言わないでよ!」と咜られた。

「こうなったら管理人さんに鍵を開けてもらうしかないわ」

静香は小走りで管理人室のインターホンを鳴らした。

- どちら様ですか? -

食事時だったのだろう、咀嚼音をべちゃべちゃさせながら年配の老人らしき管理人が応対にでた。
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