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大きなクリの木の下で
第5章 拉致監禁

「なんだか気味が悪いわ…」
タクシーで静香のマンションに送り届けて、
降車しながら静香がポツリと呟いた。
「良ければ…その…今夜は泊まっていってあげましょうか?」
きっと心細いだろうから「お願い、泊まっていってよ」という返事を竹本は期待したのだが、静香はそれには答えずに「今夜は付き合わせてしまってごめんなさいね」と、わりとあっさりと背を向けて一人でマンションの入り口に向かって駆けていった。
一人、タクシーに残された竹本に向かって運転手は「さて、このあとはどこへ?」と行き先を急かした。
ニヤニヤしているわけではないが、運転手のその目は「お客さん、見事にフラれたねえ」と嘲笑っているかのようだった。
「そうだなあ…軽くラーメンでも食って帰るか…」
運転手に旨いラーメン屋を知っているかい?と尋ねると
「少し遠回りになってもいいんなら旨い店を知っていますよ」と言うので、それじゃそこへ連れていってくれと頼んだ。

