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遠い夏の続きを、もう一度
第2章 再会

陽が傾き、風が頬を撫でる頃、ふたりは街のはずれの坂道を登っていた。
「あの頃みたいに、何でもないことで笑えるって、いいね」
彼女がそう言った瞬間、私はふいに、彼女の指先を取っていた。
戸惑うでもなく、彼女はそのまま手を繋いできた。
鼓動が早くなる。
忘れていた感触――いや、封じていた感情。
「……ねぇ、昔、一緒にお風呂入ったの、覚えてる?」
彼女の声はいたずらっぽく、でもどこか切なげだった。
このまま帰したくない。
でも、それは彼女の未来を壊すことになるかもしれない。
それでも、私は言った。
「もう少しだけ、一緒にいたい」

