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遠い夏の続きを、もう一度
第2章 再会

ドアが閉まる音が、いつもより静かに響いた。
部屋に一歩入ると、淡い照明が彼女の頬を照らし出す。
不思議なことに、気まずさはなかった。ただ、どこか夢の中のような、ふわふわとした心地よさだけが広がっていた。
「すごいね、こういうところって……」
彼女が小さく笑って、ソファに腰を下ろす。その声に少しだけ、緊張が滲んでいる。
私も隣に座る。言葉は交わさない。ただ、彼女の指先にそっと触れてみる。
拒まれなかった。むしろ、ゆっくりと握り返してきた。
「なんか、ね……今日は、もう少し甘えていい?」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。
そっと、肩を引き寄せる。彼女の髪が揺れて、香りがふわりと鼻をかすめた。
抱きしめた彼女の体は、細くて、でもとても温かかった。
「昔みたいに、またお風呂、一緒に入る?」
頷いた彼女の瞳は、少し潤んでいた。
――泣いているんじゃない。多分、私と同じ気持ちが溢れていただけ。
湯気が立ち込めるガラス張りのバスルーム。
肩越しに感じる視線も、遠慮がちに寄せられる指先も、
まるで何かを確かめるように、お互いをそっと撫でる。
触れるたび、記憶がよみがえり、
触れるたび、いまここにいることが信じられなくて、
でも確かに、彼女の体温は私に寄り添っていた。
「今日だけでも……いいよ」
かすれた声で、彼女がそう囁いたとき、
私はようやく、あの夏の続きを生きていると感じた。
部屋に一歩入ると、淡い照明が彼女の頬を照らし出す。
不思議なことに、気まずさはなかった。ただ、どこか夢の中のような、ふわふわとした心地よさだけが広がっていた。
「すごいね、こういうところって……」
彼女が小さく笑って、ソファに腰を下ろす。その声に少しだけ、緊張が滲んでいる。
私も隣に座る。言葉は交わさない。ただ、彼女の指先にそっと触れてみる。
拒まれなかった。むしろ、ゆっくりと握り返してきた。
「なんか、ね……今日は、もう少し甘えていい?」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。
そっと、肩を引き寄せる。彼女の髪が揺れて、香りがふわりと鼻をかすめた。
抱きしめた彼女の体は、細くて、でもとても温かかった。
「昔みたいに、またお風呂、一緒に入る?」
頷いた彼女の瞳は、少し潤んでいた。
――泣いているんじゃない。多分、私と同じ気持ちが溢れていただけ。
湯気が立ち込めるガラス張りのバスルーム。
肩越しに感じる視線も、遠慮がちに寄せられる指先も、
まるで何かを確かめるように、お互いをそっと撫でる。
触れるたび、記憶がよみがえり、
触れるたび、いまここにいることが信じられなくて、
でも確かに、彼女の体温は私に寄り添っていた。
「今日だけでも……いいよ」
かすれた声で、彼女がそう囁いたとき、
私はようやく、あの夏の続きを生きていると感じた。

