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厳冬の氷点下で助けた女
第1章 厳冬の氷点下で助けた女
女は二十歳前後のピチピチとした体だ。
恥ずかしがって
「すいません、向こうむいてもらえますか」
と言って、服を整えた。

オレは、ちょっぴり残念な気分になりながら、
それでも女が回復してホッとした気分になった。



クルマの車内灯のわずかな光、
暗い中でも顔色に血の気が戻ってきたことがわかる。
バラ色の頬。美しい娘だ。

低体温症や霜焼けが心配だ。
オレは、念のため病院に連れて行くと言った。

女は、
「お願いです。それだけはやめてください。お願いです。」
と言った。

よくよく聞いてみれば、
女は、その小さな町にある病院(診療所)で働く看護婦(看護師)さんなのだ。
深夜に車を走らせ、スリップして道路わきに落ちたことなど、職場に知られたくないと言う。

うるさい婦長さんからどれだけ怒られるか…
と女は言う。

「私のアパートに送って下さい。」
と頼む女に、オレは、
「わかったよ。明日、車屋さんに連絡して、引っ張り上げてもらうといい。」
と言った。
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