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レッスンの仕方が間違っている!
第8章 3次審査まであと3日
「そうだな。悪い……」
「いいんだって、功兄。湊もありがとな。ごめん、その通りで……まだ考えてる最中なんだよ。決めたらちゃんと言うから。」
「考えてるなら良いから。そうだ……コレ折角持ってきたんだから食えよ。」

 功はまとめられた荷物の中から、タッパーを取り出した。

「おはぎだ。」
「おはぎか。」
「おはぎだよな。」
『あははははははっ!!』

 2人して顔を見合わせた。
 やはりギャップが有りすぎたようだ。
 相変わらず真ん中に奏太が陣取っているせいで湊と近い。
 顔がぶつかりそうだった。
 いつものことで、本人達は気にしていない。
 そして、これが彼らにとっての普通の距離だと、功は今日初めて気付いた。

 成程なぁ~
 腐っても兄弟、か……

「クッ、ふふふっ……」
「何笑ってんだよ功兄~?」
「そーだぞ兄さん。気持ち悪い。」
「そーかもな。」

 憎まれ口を叩かれても、2人を見ていたらどーでもよかった。
 しかし肯定してしまうとは。

「嘘だからな!?俺は気持ち悪いとか思ってないからな??湊が思ってるだけだからな!?功兄はかっこいいから!!」

 今度は2人して口論し始めた。
 ソファーを取り合いながら。

 でもやっぱ、ブラコンなんだよな……
 湊がなんとかしてくれっかな?
 フッ…エスカレータで良かったな?奏太。
 って、何親みたいなこと思ってんだ俺。
 親居ないけどな。
 大丈夫。
 コイツならどう転んだって業界で生きてける。
 なんたって、俺の弟だかんな!

 不安も拭われ、功はソファーを立った。

「じゃぁ、奏太のこと頼むぞ湊?」
「あれ?珍しいこと言うな~兄さん。」
「頼んだぞ!」
「痛ッ!?」

 最後に肩をバシッと叩き功は階段に向かった。

「あ!功兄~!!」
「ん?」
「週刊誌……気をつけてね?」

 振り返らずとも、弟がニヤリと笑っているのはわかった。

 最後が余計だ!
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