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レッスンの仕方が間違っている!
第9章 3次審査まであと2日
「今日中なら気にしないでいーんじゃないですか?だから降りて下さい。それに、誰にも言いませんよ!」

 これが業務妨害阻止に繋がれば良い……

「あら、そう?」

 エレベータを降りる彼女。
 ドアが閉まる。

 ん?
 おいおい!
 俺、乗ってない!!
 ちょっと……

 エレベータは行ってしまった。

「あら、御免なさい。」

 確信犯だ。
 つーか其処に立たれちゃ今度は……
 ボタンが押せないじゃねーか。
 わざとか……
 わざとなんだな??

「弟さんの奏太くん、頑張ってるわね。」
「俺を足止めして、その話がしたかったんですか?」

 それには無言を貫きニコっと笑って誤魔化す。
 ものを言わせない顔。

 読めない……RIKUさんもそうだった。
 他のメンバーはそーでもないんだよな。

「前にお仕事で一緒になったのよ。貴方達瓜二つなのに、中も雰囲気も全然似てないわ。それでつい話してみたくなったのよ。」

 マジで面倒だ。
 タイムロス。
 何か収穫しなきゃ損だけが残る。

「あの奏太のことで、1ついーですか?」
「何かしら?」

 向こうも何となく功の心情を読み取ったらしく、案外簡単に答えてくれそうだ。

「奏太は『モデル』としてうちに来ても、『役者』としてうちに来ても。制度の枠から外れることは無いですよね?」
「前置き無しか……それって私達の後に導入された特寮のことね?貴方が奏太くんのことで聞くんだから、それくらいしか思い当たらないんだけど……」
「はい。」
「問題無いわ。」
「……よかった。」
「善いお兄ちゃんね。そろそろ行くわ。大丈夫、あの子なら心配無いわよ……」
「え?」
「勘よ、勘。」

 優雅に手をヒラヒラさせ、掴みどころの無いモデルは立ち去る。

 なら良いんだ……

 功は彼女が見えなくなるまで、ボタンを押すのも忘れただ眺めていた。
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