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レッスンの仕方が間違っている!
第3章 2次審査当日
 揺れる腕時計の時刻は1:20を表示している。
 椿はただ只管走っていた。
 赤いジャージに上は白い半袖Tシャツ。
 背中英語プリントには『LOOK!!』とある。
 因みに『LOOK!!』なんてプリントされてなくとも、嫌でも目立つ赤いジャージの下半身だった。
 いかにもスポーツ大好き青年丸出し。
 彼は何処に向かっているのか?

「よし!着いた。」

 そう呟き、自動ドアを通り、『STAR★PRODUCTION』と書かれた40階建ビルに入って行く。
 言うまでもなく、本社審査会場だ。

「審査票をお出し下さい。」
「はい。」
「では案内に従ってお進み下さい。」

 受付嬢がにこやかに言う。
 緊張をあまりしていない椿は、その顔に笑い返し、奥に進んだ。
 受付嬢は何だか顔を紅潮させて彼の後ろ姿をぼんやりと眺めた。
 至って並大抵の容姿。
 目を引くとするなら、まだあどけなさが残る顔。
 爽やかでいてふんわりとした笑顔がそうさせたのかもしれない。
 
「あの~これ。」
「え?・・・・・・あぁ、はい!すみません。審査票をお出し下さい。」

 慌てて受付嬢は役割を再開した。
 また1人送り出し、磁石に吸い寄せられるかのように奥を見る。
 が、もう其処に青年の姿はなかった。
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