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レッスンの仕方が間違っている!
第8章 3次審査まであと3日
「じゃぁ椿、お前最終審査頑張れよ?」

 玄関口で靴を履く椿に応援の言葉を声をかけた。

「ありがと。それより功知ってたんだね。僕がファイナリストに残ってたこと……ずっと内緒にしてたのに。」
「腐っても審査員だからな。まぁ、知ったのは昨日だけどな。でもまさかあんなことに、お前が巻き込まれるとか考えてなくて。」
「全くだよー!僕の実技の直前に抜けるとか、ホント嫌がらせかと……」

 またか……
 マジにこっちが素なんじゃないか??
 まぁ可愛いから許す。

 功は溜息混じりにこぼした。

「そーじゃなくて、ストリートで声かけたのはアイドルとして浅はかだったってことだよ。まぁ、だから椿に出会えたんだけどな。」
「馬鹿だな~功は。」

 椿は伏し目がちに口を尖らせドアの方に身体を向ける。

「お前昨日風呂場で言ったこと、根に持ってんだろ……?」

 そして振り返り、椿は功の目を見て人の悪そうな笑みを浮かべて言った。

「ふふっ、そんなことしなくたって、僕は受かって功の隣に行くんだから結局は同じだったよ。」

 そこにきて椿は、いつもの様にふんわりした微笑みを功に向け、再びドアの方に向き直った。
 何だかコロコロ変わる椿の雰囲気が可笑しくて、功は微笑して椿を後ろからギュッと抱き寄せた。
 夏でも全然暑苦しいとかなくて、暖かいと功は感じた。

「行ってきます!」

 椿はそのまま振り返らずにドアを開けた。

「ここはお前の家じゃないぞ?」
「あはは……行ってきます。」

 やはり椿はそのまま玄関を出て行った。

 結局、行ってきますなのか……
 つーか顔見せろよ。
 見たら即死だけど。
 あれ絶対可愛かったと思うんだよな……損したな俺。
 ったく、昨日の一件でカンケーはかなり変わったが。
 アレで、いいのか?
 はぁー……人生なるよーにしかならないよーに出来てんだよな。
 今更か。
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