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幸せのカタチ
第13章 機が熟す時

雅紀は半分おかしいのか笑いながらこう言う。
「コンビニの店員の女の子にさ、『最近神部さんは何だか輝いてますね?』って言われたんだよ…」
「それは、素晴らしいじゃない?」
「だから、俺は冗談で『頭が輝いてるのかい?』って言ったんだよ…」
「それは、笑えるわ…」
私は電話口で笑ってしまう。
それを聞きながら尚もこう言うのだ。
「そう言ったら、コンビニの女の子は『違いますよっ!!』って言うんだよ…」
そう言うと雅紀は穏やかに笑うのだった。
雅紀は本当に今とても幸せだと何度も私に言うのだ。
そして、改めてこの3年間は私たちにはとても必要で大切な時間だったのだと思えるのだ。
倫也は私に自分の死を通して沢山の事に気づかせてくれた。
人に本当の意味で優しく接することや、思い遣りや感謝の気持ちなどを教えてくれたように思う。
確かに、倫也を喪った事は悲しい事だった。
でも、その死を通して私は成長できたのだ。
それは、とても辛く悲しく苦しいものだったけれど、今では良かったと思っている。
倫也の死は決して無駄死にではなかったのだ。
私の魂を成長させてくれるものだったのだと今は思える。
私が幸せに生きていく事が倫也への最大の供養になるとこの時改めて思ったのだった。

