この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
雨夜に灯る
第1章 静かな雨と背表紙と
雨脚は、静かに、けれどしっかりと窓を叩いていた。
久しぶりに帰ってきた地元の街。傘を持たずにふらりと歩いていて、美沙は商店街のはずれにある小さな書店の軒先に逃げ込んだ。

店内には鈴の音がやさしく響いた。
古い木の棚と、少し湿気を帯びた紙の匂いが心地よい。
「いらっしゃいませ」
奥のレジカウンターから声がした。

振り向くと、ひとりの若い女性が立っていた。
髪は短く、くしゃっとした前髪の奥から、まっすぐな黒い瞳がこちらを見ている。
言葉は控えめだったのに、その視線だけが、なぜかやけに熱を持っていた。

「濡れました? タオル、ありますよ」
彼女は小さな棚の横を回り込むようにして、美沙のそばにやってきた。
自然な距離感。だけど、どこかで鼓動が早くなるのを、美沙は否定できなかった。

「いえ、大丈夫です。すぐ乾きますから」
そう言いながら、美沙は適当な棚に視線を落とした。
どうでもいい装丁の本の背表紙が、目に入ってこない。
代わりに隣に立つ彼女の体温の気配だけが、やけに近くに感じられた。
/4ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ