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第3章 猶予

俺は無事短大を卒業し
晴れて社会人になった。




爺ちゃんからお祝いで届いた
何着もあるスーツを見て実感が湧く…
パリッとしたｼｬﾂに腕を通し
背広を羽織り鏡の前に立った。

自然と背筋が伸び気持ちがいい。


姉さんからのお祝いに貰った
ネクタイを締め…


母さんからのお祝いに貰った
鞄を持ち革靴に足を入れる…



まだ家を出る前なのに緊張して
何度も深呼吸をした…



軽く髪を整え
あの人がいる会社へと足を運ぶ。




今日が初出勤だ…



ｵﾘｴﾝﾃｰｼｮﾝだけなのにな…
こんなにも緊張してたら
あの人に会った時恥ずかしいだろ。
そう自分に言い聞かせながら
面接以来の会社に入る。



新入社員説明会
そうかかれた部屋に入り
指定の席に座ると
身分証が置かれていた。


机に置かれた紙に目を通しながら
ふと目に入ったのが


《あなたの教育担当者は藤原です》


まだ来ていない隣の席の紙に目をやると
違う名前が書かれていた。



う…そ…だろ…。