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ーasahiー
第1章 家族
「どーせやりたい事ないなら
経済学科のある短大に入って
卒業後ウチに入ればいい」
「いや…だから…」
「ウチの家系に産まれた以上
ついて回る話だ継ぐ継がない以前に
そういう知識は必ずいるからな」
「はぁ…」
高校3年生の俺は未だに
進路は決まっていなかった…
後々必要になるのは分かっていたから
ここは父さんに従い
経済、経営学科のある短大を受験する事にした。
「継ぐつもりはない
けど…短大にはいきますよ」
それだけ告げ社長室を後にした。
後日、担任に進路調査の紙をだすと
「継ぐのか?お兄さんが会社持ったんなら
お前が跡取りなんだろ。棚ぼただな。」
嫌みにしか聞こえないから…
クラスの奴らもやたら言う「次期社長」と。
俺はどーでもいいのにな…
《なりたくてもなかなかなれない》
確かにそうなんだよ…
俺贅沢なのかもしれない…
でも…これは…
この状況の人間にしか分からない悩みだ。
「就活しなくて楽だよな」
簡単に言ってくれるよな…。
俺の気もしらないで
《棚ぼた》それって…
認められてないけど
おこぼれもらえて良かった…だろ?
毎回そういうの言われるの
もうウンザリなんだよ…
「京君の弟なら歓迎だよ」
塾講師に言われ
「京君の弟なら秀才でしょ」
親戚に言われ
もう…やめてくれないかな…。
父さんや兄さんの立場がある手前
聞き分けのある弟を演じてきたが
いい加減イヤになってきた。