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マネージャーは知らなかった、彼の欲望
第1章 覗いてはいけないもの
「ねえ……マネージャーってさ、触れちゃいけない存在なの?」

恒星の手が、私の手の甲をなぞる。

熱い。息が浅くなる。

「俺さ、我慢してきたんだよ。けど……そろそろ限界かも」

耳元で囁く声。

甘くて危険で、心がふわっと浮かびそうになる。

私はただ、玄関のドアノブを握りしめた。

行かなきゃ。でも、足が動かない。

「凛さん、俺のこと……見てくれる?」

視線が絡んだまま、夜の空気が静かに揺れていた。

「じゃあ、もう帰るね。明日も早いし」

なるべく自然な声を装ったけど、自分でもわかる。

それは、逃げの一言だった。

玄関のドアに手をかけた瞬間、背後から腕を掴まれた。

「待って。……行かないでよ、凛さん」

その声に、心臓が跳ねた。
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