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リクエストのラストワルツ
第3章 弟のような彼

「すみません、シャンプー借りちゃいました」
「いいのよ。 あら、おんなじ香りがする」

 慎也の頭の香りを嗅ぐように近づけてきた冴子の顔を見て、彼は思わずそのオパールピンクの唇にキスをする。
 黙って眼をつぶり応えてくれた冴子の頭を抱きながら慎也はそのまま彼女を押し倒しそうになった。

「待ってて… わたしもシャワーしてくるから」

 慎也の手を振りほどいて冴子は微笑みながら後ずさりする。

「髪も洗いたいから時間かかるけど、ごめんね」

「テレビでも見ててね」と言いながらあらかじめ揃えていた着替えを抱えて彼女は脱衣所へ姿を消した。

 小さな音量でテレビからバラエティ番組が流れている。
 手持無沙汰をどうしようかと思った慎也は立ち上って脱衣所へ向かうと閉じられた引き戸をノックした。

「なあに? どうかした?」
 
 冴子の声を聞きながらドアを引くと、鍵はかかっていなかった。

「だめよ、いま来ないで」
 
 振り向いた冴子は脱いだばかりのスカートを抱いて胸を隠しながら慎也を睨んだ。

 教室で眼を奪われたスカートに隠されていて、さっき垣間見た白のショーツは編みレースがあしらわれて可愛らしかった。
 それを眼にして抑えられなくなった慎也は。抱きつくと同時に裏返しにした冴子の胸を焦るようにつかまえる。

「待って… だめ…」

 無視した手はすぐにショーツへ伸びた。

「だめだってば… 汗かいてるし…」
「さえこさん… すきです… だいすきになりそうです…」
「しんやくん…」

 もうあとは迷うことのない一本道しかなかった。

 相変わらず性急さは感じたが、それが却って冴子の感情を煽り頂上へと押し上げる。

「そこだめ… んあっ… だめ… だめ…」
「さえこさん… だいすき…」
「ああああ… ああ… い、いっちゃう、いっちゃう… だめ… ああ…いくっ!」

 つま先立ちになって慎也に支えながら冴子はあっという間に達した。
 
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