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リクエストのラストワルツ
第3章 弟のような彼

「わたし初めて慎也くんを見たのは、あそこの本屋さんなのよ」
 
 生乾きの髪をタオルで押さえながら慎也の前に座った冴子はそう言いながら彼を見た。

「え? いつですか?」
「スーパーで会った少し前」
「知らなかった… 何か買ったんだっけ…」
「ううん、立ち読みしてた」
「立ち読み?」
「うん、成人コミック眺めてたわ」
「え!? 見られてたんですか?」

 それには応えず、冴子はいたずらっぽい眼で微笑みを返した。

「若いんだもん、しかたないわよね」

 うつむいて恥ずかしそうにしている慎也を見て可愛くなった冴子は少しいじめてみたいと思った。
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