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リクエストのラストワルツ
第5章 台風の夜

 冴子の乾ききっていない濡れた髪から香るリンスの香りと、薄いTシャツ越しのまだ湯気が立っていそうなやわらかい肌に触れて、慎也もさっきまでの冷静さを失いかけていたが、立膝になっている冴子の膝裏に手を入れてその滑らかな肌の内腿を指先で掃くように動かしながら付け根へ忍び寄っていくと、ぞくぞくするような快感が先に冴子に襲いかかった。

「い、いやぁぁ… あっ、あああ…」

 Tシャツの上から布越しにつまんでは転がされる胸の突起が感じて膨らむ。
 花園の中心に届いた慎也の指先もショーツの布越しに花弁をさすりながら花芯をとらえてさわさわと虫が這うようにうごめく。
 そのもどかしいような焦らされ方に、いったい何本の指が動いているのだろうと冴子は思った。

「いやぁぁ… そんなしないで… いやあああ…」
「さえこさん…」

 冴子の喘ぐ声で慎也の指の動きが早く、強くなっていく。

「ああぁ… しんやくん… いい… きもちいい… きもちいい…」
 
 腿を覆っていたTシャツはすっかりめくれ上がり、冴子の脚が開く。

「わたし… すぐいっちゃいそう… い、いい… すごくいい… ああああ…」
「さえこさん… さえこさん…」

 鼓膜を何度も震わせる自分の名前が冴子を煽り立てる。

「ああああ… ああっ… い、いく、いく、いっちゃう… い、いくいくいくっ!」

 慎也の横に座って何分も経たないうちに冴子は、彼にしがみついた体を丸くしてあっという間に達していた。

「はずかしいわ… わたし…」

 あまりに早くいってしまった自分を冴子は恥ずかしく思った。

「ぼくはすごくうれしいです、さえこさんが感じてくれるのがうれしい」
「ほんと? きらいにならない?」
「なるわけないです、かわいくって大好きになってます」
「うれしい… きらいにならないでね」
「なれませんよ、絶対!」

 そう強く言って冴子の潤んだ眼を見つめると慎也は力いっぱい抱きしめた。
そして彼女を抱えるとそのまま後ろのベッドに重なって倒れ込んだ。

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