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リクエストのラストワルツ
第7章 リクエストのラストワルツ

 そんな中、慎也が今のニュータウンを離れて台北へ赴任する日は3月1日と決まった。

 単身のうえ、家具付きの住居も用意されるので、さほどの引っ越し準備は必要なかったが、何よりも冴子とのことだけが彼は心配だった。

 別れるという選択肢は彼の中にはなかったが、冴子がほんとうはどのように考えているのかが最大の不安で、彼女を失わずにすむにはどんな方法があるのだろうかと懸命に考えていた。

 お互いに答えを出せないまま週末の爛れるような日々が重ねられていくと同時に残された時間だけは確実になくなっていく。

「2月末のダンスパーティが、慎也くん最後なのね…」

 明け方の乱れたベッドの上の慎也の腕の中で冴子がつぶやいた。

 その日、慎也は教室を去り、翌日には寮のアパートを退去して一旦実家へ帰ったあと、
2月28日に成田から出立する段取りになっていた。

「しばらく会えなくなるけど、待っていてもらえますか?」
「うん、わたし逢いに行くから」
「待ってますから、きっと来てください」
「うん、待っててね」

 冴子はそう応えながら、眼は慎也の顔を見ることができずにいた。

(あと1週間しかない… 答えが出せるのだろうか…)

 行きつ戻りつを繰り返しながら決められない自分が情けなかった。
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