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リクエストのラストワルツ
第7章 リクエストのラストワルツ

2週間遅れの理由と詫びを添えて冴子は本宮にメールを打った。
彼の手紙には、LINEのIDとメール、それに電話番号が記されていたが、落ち着いて書きたかった彼女はメールを選び、少し考えさせてほしい、と返信した。
〝もう返事は来ないと思って諦めていたから嬉しかった。
いい返事が届くことを待っている〟
数時間後に届いた本宮からの返事には、そんなことが書かれていた。
夜、ベッドに入ってから、そして毎朝、目が覚めるたびに冴子の気持ちは揺れ続けた。
ひとまわりほども歳下の慎也を待っていていいのだろうか…
一度は自分を捨てた本宮のもとへ広島まで行っていいのだろうか…
そもそも、自分の仕事を大切にしたいのではなかったのか…
そんな思いの中を堂々巡りしながら答えは出せずに時間だけが過ぎていく。
慎也は異動の話をしてくれたが、自分は本宮のことを話したりはしていない。
優柔不断ではないはずだったのに、もしかすると自分はずるい女なのではないかとまで思うほどの毎日だった。

