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好色なる一族3
第1章 誘拐

この作品はフィクションであり、登場する人物等は実在のものとは関係ありません。
都内私鉄の駅から歩いて5分ほどの所に小料理屋『あやめ』があった。30メートル離れた道路脇にはミニバンが止まっていた。運転席にいる角刈りの男が高田盛男、助手席にいるオールバックのほうが梅野和義だ。2人の視線は小料理屋『あやめ』に向けられていた。そのすぐ後方にセダンが止まっている。運転席には榎本香がいた。
真夏である。夕方からの激しい雷雨は嘘のように静まった。通りを歩く人の数もこの時間になるとほとんどない。三人にとっては好都合であった。小料理屋『あやめ』の女将は武田組組長の妾である宮内あやめ47歳、そして組長とあやめの娘ぼたん21歳が手伝っていた。
「組長に子供がいるとは知らなかった。お手柄だぞ、梅野」
「いや、お手柄は香だ。昔のホステス仲間を通じての情報だ。武田組内でも一部の者しか知らないらしい」
「梅野、ところで香とはどうなんだ?」
「どうって?」
「だからいい関係なのか?」
「まさかオヤジの女だ。手なんか出せねえ」
「でも以前オヤジの家での乱交パーティで香とやってただろ?」
「あれはオヤジに命じられただけだ」
高田は時計を見た。午後10時を回っていた。
「梅野、そろそろだ」
「高田よ、役交換しないか?俺が助けるほうやる」
「だめだ。おまえの顔は悪役向きだ」
「顔はお互い様だ」
「俺のほうが1つ年上だ。俺の言うとおりにしろ」
「でもさ、このネタ手に入れたのは俺だぜ」
「おまえじゃないだろ。香だ」
「じゃいいけど、本気で殴るなよ」
「心配するな」
高田も梅野も後部座席から黒ジャケットを取り出し羽織った。梅野はズボンとシャツの間に拳銃を押し込んだ。
都内私鉄の駅から歩いて5分ほどの所に小料理屋『あやめ』があった。30メートル離れた道路脇にはミニバンが止まっていた。運転席にいる角刈りの男が高田盛男、助手席にいるオールバックのほうが梅野和義だ。2人の視線は小料理屋『あやめ』に向けられていた。そのすぐ後方にセダンが止まっている。運転席には榎本香がいた。
真夏である。夕方からの激しい雷雨は嘘のように静まった。通りを歩く人の数もこの時間になるとほとんどない。三人にとっては好都合であった。小料理屋『あやめ』の女将は武田組組長の妾である宮内あやめ47歳、そして組長とあやめの娘ぼたん21歳が手伝っていた。
「組長に子供がいるとは知らなかった。お手柄だぞ、梅野」
「いや、お手柄は香だ。昔のホステス仲間を通じての情報だ。武田組内でも一部の者しか知らないらしい」
「梅野、ところで香とはどうなんだ?」
「どうって?」
「だからいい関係なのか?」
「まさかオヤジの女だ。手なんか出せねえ」
「でも以前オヤジの家での乱交パーティで香とやってただろ?」
「あれはオヤジに命じられただけだ」
高田は時計を見た。午後10時を回っていた。
「梅野、そろそろだ」
「高田よ、役交換しないか?俺が助けるほうやる」
「だめだ。おまえの顔は悪役向きだ」
「顔はお互い様だ」
「俺のほうが1つ年上だ。俺の言うとおりにしろ」
「でもさ、このネタ手に入れたのは俺だぜ」
「おまえじゃないだろ。香だ」
「じゃいいけど、本気で殴るなよ」
「心配するな」
高田も梅野も後部座席から黒ジャケットを取り出し羽織った。梅野はズボンとシャツの間に拳銃を押し込んだ。

