この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
紅蓮の夜に、君をさらう
第1章 炎の宮殿、出会いの夜

ある日の夜だった。
眠っていると、どこか焦げたような、何かが燃えている匂いがした。
鼻をつく煙に顔をしかめた瞬間――戸が勢いよく開く。
「香蘭様! お逃げくださいっ!」
「な、何事⁉」
慌てて身を起こし、私は羽織を掴んで肩にかける。
「盗賊です!」
盗賊――?
そんな馬鹿な、宮殿に盗賊だなんて。
けれど、侍女の顔は青ざめ、言葉に一切の誇張はなかった。
私は戸口へと駆け出す。
だが、目に飛び込んできたのは、真っ赤な火の壁だった。
「えっ……火が……!」
周囲一面が、炎に包まれていた。
燃える梁、崩れ落ちる柱。悲鳴と怒号。逃げ道なんて、どこにもない。
「どうすれば……どうすればいいの⁉」
戸口に立ち尽くす私を、熱風が容赦なくあぶる。
眠っていると、どこか焦げたような、何かが燃えている匂いがした。
鼻をつく煙に顔をしかめた瞬間――戸が勢いよく開く。
「香蘭様! お逃げくださいっ!」
「な、何事⁉」
慌てて身を起こし、私は羽織を掴んで肩にかける。
「盗賊です!」
盗賊――?
そんな馬鹿な、宮殿に盗賊だなんて。
けれど、侍女の顔は青ざめ、言葉に一切の誇張はなかった。
私は戸口へと駆け出す。
だが、目に飛び込んできたのは、真っ赤な火の壁だった。
「えっ……火が……!」
周囲一面が、炎に包まれていた。
燃える梁、崩れ落ちる柱。悲鳴と怒号。逃げ道なんて、どこにもない。
「どうすれば……どうすればいいの⁉」
戸口に立ち尽くす私を、熱風が容赦なくあぶる。

