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第1章 誘い

「ここで何度も…あなたの話を…たくさん聞かされましたよ…」
舞さんの言葉を聞いて、それが智恵さんだと分かった。
「すごく信頼できて…頼りがいのある人なんだって…ある人が言ってましたよ…」

カウンターの下では、智恵さんが私の手を強く握り、その手を離そうとしなかった。

私は「そうだったんですね…それはきっとエンドレスだったんでしょうね…大変でしたね…」と笑みを浮かべて舞さんの苦労を労った。

「智恵…今夜は和真さんにたくさん話を聞いてもらってね…もう私は十分聞いてあげたからね…」

智恵さんは「舞…？」と小さく呟いた。

「話し始めたら『エンドレス』だって…彼は智恵を理解してくれているんだね…」

智恵さんが「えっ…」と驚いていると、舞さんはベストのポケットから金属製の鍵をカウンターに置いた。

「じゃあ…戸締りお願いね…」

舞さんは「飲みたいときは好きなだけ飲んでいいから…」と壁際のお酒の瓶を指さしていた。

舞さんはカウンターの隅からメイン通路に出て、「私は自分の鍵があるから…」と言い、お店のライトをオレンジの非常ライト1つだけを残し、すべて落としてしまった。そして最後に扉の鍵を外から施錠していた。