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恋かるた
第1章 時めぐりきて -長月-
 夢を見た朝でも、普段はその内容をすぐに忘れてしまうのに、時計の動く音しか耳に入らないいつもどおりの静かな寝室で志織は眼が冴えてしまっていた。
 
 思いがけずない状態で再会した沢田の夢を見たことで、彼にある想いを寄せていたことに改めて気づかされてしまったのである。

(どうしようかしら…)

 躊躇いながら志織は、隣の部屋で寝ているはずの瑞穂に気づかれないように、パジャマに包まれた胸へ手を伸ばしてしまった。
 あまり大きくない胸を掌に収め、親指と人差し指の間で小さな突起を弄んでいるうちにそれは少しずつやわらかく膨らんでいく。

(あ…)

 ずいぶん久しぶりの感覚だった。

(感じる…)

 忘れていた感覚が背筋を走った。

 ひとりでする時に、別れた夫はおろか、誰かのことを頭に描くことはこれまでほとんどなかった志織だったが、その日は思わず実際に指さえ触れられたことのない沢田の優しい笑顔を思い浮かべていた。



(あの人はどんなふうにして女を抱くのだろう…)

 片方の手がショーツをくぐる。

 花園の叢を躊躇いながらしばらく彷徨っていた指先が裾野へ伸びると、久しぶりに訪れたスリットは夜露が降りたように潤っていた。

(やだ…)

ふわっと覆っている花弁を2本のしなやかな指で開き、中指で潜むように隠れていた蕾の眼を覚まさせるとそのままついばむように動かす。
 撫でるように先端を、そして根元から掬うように指先が細やかに動く。

(あん… すごく感じる…)

 スリットの奥の泉から豊かに湧き出てくる蜜を掬い取って塗り込まれるようにされた蕾は、小刻みに小さな円を描く指で次第に押さえつけられて喘いだ。

(きもちいい… あぁ… きもちいい…)
 
 遠慮がちだった指は、容赦ない快感に煽られて歯止めを失った。

 固く膨らんだ先端を指で挟んで転がしながら掌いっぱいの胸を握りしめ、股間で円舞する指はその勢いと強さを増していく。

(あ…っ あ… すごくいい…)


 声を抑えようと懸命に閉じていた唇が思わず開き、こらえていた吐息が小さく漏れたそのとき、まっすぐに伸びた脚のつま先が一瞬開いてからきつく握られると同時に、顎を上げて志織は静かに達した。
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