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百合の華は永遠に
第1章 百合の華は永遠に
「そんなこと言ったって決まったもんは仕方ないじゃない!」
私は一人で言いながら、リビングに戻った。
「私だって、ちゃんとお父さんに俊介のことは言ったし…」
(まあ確かに今回のことは…言い返す気力もなくてすんなり受け入れちゃったけどさ…)
私は飲みかけのカップをキッチンに運びながらふと写真たてを見た。
まだ若い、大学に入る前の写真。
二人で初めて旅行に行ったときの写真だった。
あの時は正直、本当にこんなに長く俊介と一緒にいるとは思わなかった。
気づいたら大学を卒業して、就職して、俊介はこっちに帰ってきて。
けんかも一杯したけど、なんだかんだ結婚の約束をして。
私は昔を思い起こしながら、お父さんに頭を下げる俊介を思い出した。
『伏見百合さんと、結婚させてください!』
『だめだ。君、建築系だったかな?それも、雇われの身だろう。百合の収入を考えても、どうだ。』
『それは…』
『とにかく百合とは結婚させません。』
『また来ます、本当に、僕が百合さんを幸せにします!』