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百合の華は永遠に
第2章 元ヤンだって恋をする
「梓はちょっと分かりやすすぎだからね。」
ふっと微笑む松田を見て冷静になってくる。
いつも作り笑いで固めてきた男が、梓の前ではたまに開放した笑顔を見せるのだ。
(っち…気にくわねえ…けど…)
大学で起こった事件以来、少し松田を見直したところもあったのは事実だった。
そしてそのときに出会ったのがー
何か考え込んでいた梓が、あっ!!と声を上げ目を輝かせて私を見た。
「もしかして田所君!?」
私はその名前を聞いて胸がドキドキしだした。
(くそっまただ…胸が苦しい…)
「へ~梓にしては勘いいね。」
「やっぱり!?だってね里、マサキ君が入院してから急にジャージ着なくなったんだもん。そっか~田所君か~」
「あ、梓、違うっ私は違うからッ!」
私はニヤニヤする二人の視線に耐え切れなくなって、立ち上がると走ってその場から逃げた。
「えっ!里!?」
呼び止める声にも振り返らず私はダッシュ。
(違う、好きじゃないし!田所なんて奴しらねえ!)
そのまま店から出て駅に向かう。
そのとき誰かとぶつかった。