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百合の華は永遠に
第1章 百合の華は永遠に
「ごめんね俊介…」

「ん?」

私が謝ると、顔を覗き込まれた。

「お父さん…なかなか許してくれなくて…お母さんは喜んでくれてるんだけど…」

「…仕方ないわ。親が離婚しとるうえに、そないに名家なわけでもないし…」

優しく笑う彼に胸が苦しくなった。


あの日プロポーズされてから、すぐに報告に行った。
お母さんはずっと俊介と付き合っていることは知っていたから、喜んでくれたけど、初対面の父親には反対されてしまった。

まさかうちの親に限ってそんなことで反対するとは思わなかったけれど…

『娘が嫁に行くのが嫌なだけじゃない?無視すれば良いのよ。』

お母さんは笑ってたけど、俊介は頑なに

『いや、認めてもらわんと…』

といって聞かないのだ。



「髪も黒になっちゃったし…」

茶髪は真っ黒になり、私は何となく寂しい思いで見た。

「そらかわええ娘さん貰うのに、茶髪はナメとるやろ。」

「でも…」

(俊介の茶髪好きだったのに。)

出会ったときはチャラチャラしてると思ってたけど、今でもそれも良い思い出。

「ねえ俊介…私、実は…しゅんすけ?」

「スー…」

反応のない彼を覗き込むと、胸に顔を当てたまま寝息を立てていた。

「…俊介も疲れてるよね…」

私は髪をなでて、目を閉じた。
一昨日のお母さんからの電話を思い出す。


『…お父さんがね。お見合いセッティングしちゃったみたい…百合、どうする?来週の百合のお休みの日…ごめんね、とめられなくて…』
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