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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第15章 不可逆的ラベリング
ほんの僅かに距離を詰め、楓の唇にまたついばむようなキスをする。

楓のまつ毛は微かに揺れ、何度でも受け入れられるような気配を纏う。

裕樹は、身体が前へ倒れそうになるのを支えるように手をついて、空いた手で楓のデコルテに触れ、慎重に輪郭をなぞっていく。

視界のほとんどを占拠するような、大きくて柔らかい膨らみは、指先が触れるだけで沈み込む。

服の上から分かるその感触は、豊満というよりも経験が多く刻まれた肉体。

腹部や腰回りの柔らかさにも年季があって、いくつもの手の跡を知りながら、それでも今は裕樹だけを受け入れているようだった。

裕樹が服の境目を探していることに気付いたのか、楓は唇を離さずにその指の甲に触れ、正しい場所へと導いた。

見られることに躊躇いのなさ、あるいは信頼、あるいは成熟した余裕か。

その曖昧さがスパイスとなって裕樹の頭の奥で火花が散る。

楓の素肌の温もりが掌に伝わって、シールを剥がすようにゆっくりと服を持ち上げた。

布地が大きな丘を越え、視界に飛び込んできたのは、濃い黒のシアー素材とレースのブラジャー。

その下では、今にも溢れ落ちそうな柔肉が、窮屈そうに押し込められている。

長くて深い谷間には、薄い影が差し、淡く青い血管が浮いて見える。

カラオケで夢中になって触れた時の痕跡で、乳肉の上部がはだけ、肌より濃い色が露出していた。

(やばっ、デカすぎ…それにこの色気…。)

視覚の情報だけで、裕樹は呼吸の仕方を忘れる。

腰が勝手に前へ押し出され、指先が触れる前から、手のひらが痺れるように熱くなる。

そして気づいた時には、もう手が動いていた。

下から掬い上げるように触れると、今にも溢れ落ちそうに形が変わって、柔らかさよりも先に、重さが手を押し返してくる。
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