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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第18章 泥濘の揺籠
「知らなかった……。それってエッチなやつじゃないんだよね?」

「もちろん。」

ナツはふふ、と息を吐いて耳元で囁く。

「ちゃんと健全なマッサージだよ。」

(そんな色っぽく言われても……。)


「それってさ……勃起しちゃう人もいるんじゃないの?」

「うん、いるいる。血流が良くなるからしやすいと思うし。」

「ナツみたいな人にマッサージされたら、絶対勃起しちゃうだろうな……。そうなってもなんともないの?」

マッサージやエステの施術者が着るような、布が薄そうな服を纏ったナツの姿を頭で想像する。

「普通のマッサージだから何もないよ。おじさんばっかだし……。裕樹みたいな若い子もほとんどいないからね。」

ナツに身体を触られ、悶々とした気持ちで店を後にする男たちの姿が容易に想像でき、彼らを少しだけ不憫に思った。

ふくらはぎの指圧を終えたところで、ナツは耳元で裕樹に尋ねる。

「ほぐし足りないところはありますか?」

不意に施術者らしい敬語が耳に届いて、裕樹はこれがナツの言う"普通のマッサージ"であることを思い出す。

「じゃあ……」

凝っていると言われた肩をもう一度頼もうと言葉にしかけた直前で、腰を押された時の奇妙な感覚を思い出す。

「腰の辺りをもう少し……。」

「腰ですか……。」

ナツの指が背中を沿わせていく。

「こことか?」

「あっ……。」

身体の中で小さく跳ねる感覚が、今度はより鮮明に伝わってきた。

先ほど感じた違和感は、裕樹の中で確信に変わる。

くすぐったさの中に何かが隠れていて、その正体を探ろうとする。

腰を触れているだけなのに、全身に電流が流れたような感覚があった。

「あっ……その辺触られると、声出る……。」

「腰の辺りをもう少しやるなら……ちょっと四つん這いになってみて。」

裕樹はナツに言われるがまま、もぞもぞと腰を動かして手脚に力を込めて下半身を浮かせる。

ナツは指先を筆のように柔らかく動かして、腰を敢えて避けるように臀部や鼠蹊部へと流れていった。

触れて欲しいもどかしさを察したのか、指先ではなく舌の感触が裕樹の腰の窪みを撫でる。

「あっ゛……それやばっ」

裕樹は自分自身でも想像していなかった声が身体から漏れ出ていた。
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