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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第5章 滲む境界

「ティッシュって、あるかな?」

葵はしばらく考えると「私のカバンの外ポケットに入ってる」と言った。

裕樹はベッドの傍に置いたカバンに手を伸ばして、外ポケットをゆっくりと開ける。

駅前で配られていた未使用のポケットティッシュが出てきたので、それを手に取る。

本当に良いのか、と言葉にはせずに葵に目を向けたが、先ほどと葵の視線の熱は変わっていなかった。

パンツのベルトのバックルを力を入れて外す。

すでにパンツを押し上げて痛くなるほど隆起している愚息が熱を帯びていた。

下着はすでに溢れ出したカウパーがところどころに滲み出ていて、熱くてジメジメした空間から解放されて楽になった。

葵の胸の位置まで頭を下げているため、葵からどこまで見えているかは分からなかった。

葵は何も言わずにただ静観しているのみだった。

ポケットティッシュのミシン目を両手の親指でこじ開ける。

一枚ずつゆっくりと取り出して、折りたたまれている状態から大きく広げる。

これを二枚、三枚と繰り返す。

六枚目になったところで足りるだろうと思い、ティッシュを綺麗に重ねていた時にぽつりと声がした。

「…そんなに使うんだ?」

裕樹は一瞬だけ動きを止めて葵の方を見る。

葵は目を逸らすことなく、少しだけ口元を緩めていた。

「いや…念の為…」

いつもの儀式が見られていることに、裕樹は照れ臭そうに笑いながらそう言った。
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