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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第8章 可惜夜に焦がれ墜つ【破】
裕樹は、唇にその柔らかさを感じながら、顔を動かしていると、柔らかさの中に芯があるような感触に触れる。

葵の表情を見なくとも、唇に芯が触れた時に伝わる、微かな体の揺れでそこが性感帯なのだと理解する。

上唇と下唇で押すように、その蕾を刺激する。

雷鳴が遠ざかり、空気が張り詰めたかのような静寂が戻っていた。

その静かさの中で、裕樹はゆっくりと口を開ける。

唇が離れる時の、粘膜が剥がれる音が、やけにうるさく聞こえる。

ピチャアと音を立て、湿った闇から滑り出す蛇のように、裕樹の舌が静かに伸びる。

裕樹は舌先に力を込めず、柔らかさを保ったまま、頭をゆっくりと動かして芯をなぞるように舐める。

そのままたっぷりと唾液を纏った舌が這い、まるで絹の筆が肌の上を滑るように、繊細な軌跡を描いていく。

「…っあぅ…」と漏れ出す葵の声が、肌の奥から零れ落ちるように発せられ、小刻みな震えが舌先に伝わってくる。

教室では氷の女王として、ミステリアスな佇まいの葵が、素肌を晒し快楽に悦んでいる。

学校の誰も知らないその姿を、カメラに収めて独り占めしているという事実に、裕樹の背中はゾクゾクと震えた。
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