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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第8章 可惜夜に焦がれ墜つ【破】
指先がショーツの膨らみに触れた瞬間、裕樹は息を呑んだ。

掠っただけなのに、指には粘つくような湿り気が絡みついてくる。

(……こんなに?)

保健室で葵の横にいた時のカウパーよりも、濡れているという表現が感触で理解できた。

裕樹の喉がひとりでに鳴り、胸の奥で鼓動が暴れ出す。

ショーツの膨らみに触れてもなお、葵には拒絶されなかった。

体を震わせて、葵は浅い息を繰り返す。

ショーツの布地の縁と肌の間に指先が入り込むと、サウナのような熱が伝わってきた。

子宮を肌の上から指で軽く押すように、ゆっくりと指を下げていくとぬめりと熱が伝わって、柘榴の果肉に触れた時のような濃密で甘い感触だった。

「あっ…!はぁっ…やっ、…あっ」

椅子が軋みを上げるほど、葵の脚が反射的に閉じかけ、すぐに緩み、また開いていく。

その動きは、快楽に抗いながらも、触れられることを拒めないような、無意識の揺れだった。

くちゅくちゅくちゅ、と淫靡な音を止めようと葵は裕樹の手に触れるが、その力は拒絶するにはあまりにも弱々しかった。

粘液が擦れる淫音は、葵の切なくて甘い喘ぎに掻き消される。

葵の喘ぎが、裕樹の欲望を肯定してくれるように聞こえた。

その欲望は一時満たされても、形を変え、深く、さらなる過激さを求めて裕樹を動かす。

ショーツから手を抜くと、その熱と湿り気で指がふやけていた。
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