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家は檻。〜実父の異常な愛〜
第2章 続いた夜

孝幸は、何も言わなかった。
満足げでも、後悔している風でもない。
ただ、静かにベッドを降りると、脱いだ自分の下着と寝巻きだけ拾って無言のまま部屋を出ていく。
扉が閉まる音すら、遠く聞こえた。
その瞬間、何かがぷつりと切れたように、こよみの意識がふっと沈む。
無理もない。その小さく未完成な体には、身に余るほどの衝撃と刺激だった。
そのまま、こよみは身じろぎもせず、眠りへと落ちていった。
眠りというより、意識の喪失だった。
浅い呼吸と、濡れた内腿の間に残された熱だけが、かろうじて“いま”を証明していた。
――――――――
ピピピ………
ベッドの縁に置かれた目覚まし時計が、けたたましい音を立てて鳴り響く。
こよみはその音に引き剥がされるように、重たいまぶたを開いた。
反射的にガバッと身を起こすと、昨夜の記憶がフラッシュのように脳裏をかすめる。
断片的で、輪郭の曖昧な光景――けれど、それが夢ではないことだけは、体が知っていた。
今日も股のあたりに鈍い痛みが残っている。
それでもベッドは乱れておらず、パジャマもちゃんと着たままだった。
昨日目覚めたときとまったく同じ状況に、こよみはますます混乱した。
本来なら、朝食の支度を手伝おうと、一目散に階下へ向かう時間だ。
だが、そんな気持ちにはとてもなれなかった。
下腹部にはじわじわとした違和感と鈍い痛みが残り続けている。
体の奥で静かに灯っているその感覚は、こよみに口をつぐませた。
学校を、休ませてもらおうか――。
気分が悪くて、お腹も痛いのは事実だし。
でも、休んだところで……孝幸は、この家にいる。
ここは呉服屋で、家であり、孝幸の仕事場でもある。日中もずっと同じ屋根の下だ。
それはそれで、怖い。
だったら、学校へ行こう。
無理だったら保健室で休めばいい。
そう自分に言い聞かせ、こよみは小さく決意した。
決めあぐねていたせいで、いつもより少し遅くなってしまった。
それでも、母の手伝いをしなければと、自室を出て階段を下り、台所へと足を向ける。
満足げでも、後悔している風でもない。
ただ、静かにベッドを降りると、脱いだ自分の下着と寝巻きだけ拾って無言のまま部屋を出ていく。
扉が閉まる音すら、遠く聞こえた。
その瞬間、何かがぷつりと切れたように、こよみの意識がふっと沈む。
無理もない。その小さく未完成な体には、身に余るほどの衝撃と刺激だった。
そのまま、こよみは身じろぎもせず、眠りへと落ちていった。
眠りというより、意識の喪失だった。
浅い呼吸と、濡れた内腿の間に残された熱だけが、かろうじて“いま”を証明していた。
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ピピピ………
ベッドの縁に置かれた目覚まし時計が、けたたましい音を立てて鳴り響く。
こよみはその音に引き剥がされるように、重たいまぶたを開いた。
反射的にガバッと身を起こすと、昨夜の記憶がフラッシュのように脳裏をかすめる。
断片的で、輪郭の曖昧な光景――けれど、それが夢ではないことだけは、体が知っていた。
今日も股のあたりに鈍い痛みが残っている。
それでもベッドは乱れておらず、パジャマもちゃんと着たままだった。
昨日目覚めたときとまったく同じ状況に、こよみはますます混乱した。
本来なら、朝食の支度を手伝おうと、一目散に階下へ向かう時間だ。
だが、そんな気持ちにはとてもなれなかった。
下腹部にはじわじわとした違和感と鈍い痛みが残り続けている。
体の奥で静かに灯っているその感覚は、こよみに口をつぐませた。
学校を、休ませてもらおうか――。
気分が悪くて、お腹も痛いのは事実だし。
でも、休んだところで……孝幸は、この家にいる。
ここは呉服屋で、家であり、孝幸の仕事場でもある。日中もずっと同じ屋根の下だ。
それはそれで、怖い。
だったら、学校へ行こう。
無理だったら保健室で休めばいい。
そう自分に言い聞かせ、こよみは小さく決意した。
決めあぐねていたせいで、いつもより少し遅くなってしまった。
それでも、母の手伝いをしなければと、自室を出て階段を下り、台所へと足を向ける。

