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家は檻。〜実父の異常な愛〜
第3章 半透明の優等生
熱に浮かされ、意識の輪郭が淡く揺らいでいたこよみは、突如として視界に現れた衝撃に、現実へと引き戻された。

孝幸は、己の下腹を露わにし、硬くいきり立った男根を、そっとこよみの鼻先へと近づけていた。
熱を帯び、張りつめたそれは、生々しく、どこか異質な存在感を放っている。

「……舐めなさい」

短く放たれた声は、静かでいて、逆らいがたい重みを持っていた。

――舐める?これを……?

こよみは、それが、いわゆる“おちんちん”であることを、理解していた。
しかし、こよみの知識とは全くもって異なるその形状に、強い恐怖を覚えた。

そんなものを、口に含むなんて――舌先で触れるなんて――。

「で、できません……お父様……」

震える声でそう答えると、孝幸は、こよみの身体をそっと起こし、膝を折らせるようにして正座をさせた。
その頭を逃さぬようにしっかりと抱え、低く、もう一度囁く。
「舐めなさい。……こよみ」

その声は、静かながらも抗えない圧を孕んでいて、こよみの身体は小さく震えた。
びくん、と背筋が跳ね、その瞳にはうっすらと涙が滲む。

目の前にあるものは、異様なほどに主張していた。
肌の色よりもわずかに濃く、硬く、そして形状はあまりにも生々しい。
顔を逸らしたくなる。けれど、逃げることは許されない。

こよみは、おずおずと舌先を伸ばす。
熱い、ぬめった感触が口元に触れると、身体がびくんと跳ねた。

これを舐める理由はわからない。
けれど、舐めなければ、きっと怒られてしまう。
だから、ちろ、ちろ、と、舌先だけをそっと滑らせる。正しいのかどうかも分からないままに。

孝幸は何も言わなかった。けれど、こよみの頭に添えられた手に、ごくわずかに力がこもる。
何かが不満なのか、それとも、もっと別の意味なのか――それすらも、こよみには分からない。

わかるのはただ、この行為には理由があるのだと、孝幸の目が言っていたことだけだった。
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