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家は檻。〜実父の異常な愛〜
第3章 半透明の優等生
けほっ、けほっ――
喉奥に押し込まれた陰茎に、こよみは咳き込みながら口を離した。
呼吸を求めて顎を引くが、そんな猶予は与えられない。

孝幸の手が、こよみの頭を逃さず捉える。
艶やかな黒髪を掴み、ぐっと強く引き寄せると、熱を帯びた硬いそれを再び押し込んでくる。
こよみの顔が、無造作に、まるでモノのように扱われた。

「っ……あっ……」
髪を引かれた痛みに、こよみの顔が引き攣る。
逃げようとすればするほど、黒髪が引き絞られ、動きの自由が奪われていく。

何度も突き入れられるうちに、下顎はひりつくように疲れ、唾液は止めどなく溢れ、口の端から垂れ落ちていった。
涙は既に流れっぱなしで、視界はぼやけ、額には汗が滲む。

「……うぐっ……おごっ……っ」

口内に収まりきらないそれが喉奥を叩くたび、こよみの喉からくぐもった呻きが漏れる。
手も使えず、肩も動かせず、腕はただ虚ろに宙に浮き、力なく震えていた。
どこにも逃げ場はなく、ただされるがまま。

孝幸の呼吸が荒くなる。

「出すぞ……受け止めろ……」

その言葉の意味を、こよみが理解するより早く。
孝幸は髪を掴んだまま、腰を深く押し込めてきた。

次の瞬間、びくん――と彼の身体が強張る。
喉の奥に、熱いものがぶつかるように吐き出された。
びゅる、と粘りをもって打ち込まれるたびに、こよみの瞳が大きく見開かれる。

なに? いまの、なに――?
喉がひりつく。匂いも味も知らないものが一気に満ち、頭が真っ白になる。
生臭さと苦みが舌に広がり、息もできず、ただ必死に耐える。

「……そのまま。口をすぼめて、こぼすなよ」

孝幸の手は、まだこよみの髪を掴んだまま。
その命令に、こよみは震えながら、言葉を拒む余裕もなく、小さく唇をすぼめた。

ぎゅっと目を閉じて、ただ必死に堪える。
彼が腰を引き、ようやくその熱が口から離れていく。

けれど――

「っ……っぷ、は……っ!ぉえっ……」

こよみは耐えきれず、口を押さえる間もなく、白く濁った粘りを吐き出してしまった。
唇の隙間からこぼれたそれは、顎を伝い、ぽたりと布団へ落ちる。
涙と唾液、汗、そしてそれとは別の液体がぐしゃぐしゃに混じって、こよみの頬と首を濡らしていく。

彼女はまだ、自分の中に何が起きていたのかすら、よくわかっていなかった。
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