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家は檻。〜実父の異常な愛〜
第1章 始まりの夜
初めて身体をまさぐられてから、四日目の夜。

こよみは、もう目を閉じることにためらいを抱かなくなっていた。
眠ったふりをすることが、自分を守る術だと、なんとなく思っていた。
怖さもあったが、それ以上に、何が起こるのかを知ってしまったことで、心はすでに諦めに近い静けさに染まっていた。

(今日も、触られるんだ……)

小さな胸の奥で、こよみは誰にも聞こえない声でそうつぶやいた。
まぶたの裏には、もう夢を見る余地はなかった。
枕に頭を沈め、毛布を少しだけ口元まで引き上げる。

やがてまた、階段を上がる音。
廊下をゆっくりと進む足音。
ギィ……と、ドアが開く。

気配が部屋に入り込み、ベッドの端がゆっくりと沈んだ。
呼吸を整えたまま、こよみはまるで人形のように動かない。

けれど今夜は、違った。

静かにベッドに座るだけだった父・孝幸の体が、今度はゆっくりと、こよみの上へとかぶさってきた。
重みが増し、ベッドのスプリングが小さく軋む。

何が始まるのか。
こよみは怖くて、怖くて、でも目を開けられなかった。声も出せなかった。
ただ心臓の音が耳の奥でひどく大きく響き、体の力はとうに抜け落ちていた。

孝幸の呼吸が近くなり、ぴたりと額に頬が触れた。

孝幸はこよみの小さい唇を確認するように指で触れる。
こよみはピクリと体を強ばらせて、まぶたをさらにギュッと強く閉じた。

孝幸の唇がこよみの唇に重なる。
こよみは小さく身体を震わせながらも、眠っているふりをやめなかった。
だが、小学二年生の拙い演技では、既にこよみが眠っていないことなど、孝幸には見抜かれていた。

唇を重ねたまま、孝幸の舌がゆっくりとこよみの唇をこじ開けた。
こよみは驚き、小さな声を漏らす。
そのまま孝幸は舌でこよみの歯を撫で、ねっとりと絡めとるように舌を押し入れていく。

クチュ、クチュ……と水音を立てながら愛娘の唇を貪った孝幸は、ようやく満足したのかゆっくりと唇を離した。
つぅっと、どちらのものか分からない唾液が糸を引き、月明かりでかすかに光った。
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