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家は檻。〜実父の異常な愛〜
第1章 始まりの夜
下腹部の鈍い痛みに耐えつつ、こよみは母の手伝いで朝食の配膳をする。
白米、銀ダラの西京焼き、小松菜と油揚げのおひたし、ふろふき大根、かぶと油揚げの味噌汁、野沢菜漬け。
できあがったものから順に居間へ運び、父の分を先に並べる。

母は毎日、三食欠かさず品数豊富な食事を用意する。
だが、父がそれを褒めたところを、こよみは一度も見たことがない。

父が箸をつけてから、ようやくこよみたちも食事を始める。
けれど、今日はどうにも箸が進まなかった。

味噌汁に何度か口をつけたあと、こよみはそっと声を落とす。
「ごめんなさい。お腹が痛くて、食べられない……」

「そう、そういう日もあるわよね。学校へは行けそう?」
母はあっさりとした調子で答える。
父は何も言わない。新聞を広げたままで、顔のほとんどが隠れている。表情はうかがえなかった。

「うん……大丈夫。ありがとう、お母さん」

まだ時間は早かったが、痛みのせいで支度が思うように進まず、家を出る頃にはいつもと同じ時間になっていた。

「いって、きます」

靴を履き、玄関を出る。
小学校までは、子どもの足で三十分ほどかかる。
こよみは歩き出しながら、小さくつぶやいた。

「今日は体育なくてよかった……」

学校に着くと、クラスメイトが明るく挨拶をしてきた。
こよみの顔にほんのりと色が戻り、笑顔で挨拶を返す。

教室に足を踏み入れた瞬間、いつも通りの日常がそこにあるのを感じて、こよみはほっと胸を撫で下ろした。
つかの間の心の安らぎだった。

下腹部の痛みも、気づけばどこかへ行っていた。
こよみは授業を受け、友達と笑いながら話をした。

ショッピングモールにある着せ替えカードゲームのこと。
毎日お世話をする、てのひらサイズのゲームのこと。
小さな妖精がマラカスで魔法をかけるアニメのこと……

こんなに楽しい日常が、ちゃんとここにある。
やっぱり、昨日のことは夢だったんだ。

少しだけ、まだ股は痛むけれど……きっと寝ている間に、どこかにぶつけたのだろう。
こよみはそう思い込みながら、帰り道を歩く。

家に着いたら、夕飯を作る母の手伝いをするつもりだった。

「ただいま!」

月島呉服店の引き戸を開け、階段を駆け上がる。
ランドセルを自室に置くと、こよみは元気な足取りで台所へ向かった。
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