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いまやめないで このままでいて
第6章  第6話  たまらないその指の戯れ

「いやあぁぁ… だめ、だめぇ…」

 村川にしがみついて身体を丸めたまま襲い来る快感をこらえようとしていた美郷の花弁が、泉からあふれる蜜を塗り広げるように彼の指で小刻みについばまれる。

「だ、だめぇ… それ… だめ、だめぇ!…」

「かわいい… かわいいよ…」

 彼はささやきながら焦らすような愛撫を続ける。

 自分でするときも焦らしながら上り詰めるのだったが、まるでいじめるようにもどかしいほどの強弱を繰り返す彼の指の戯れは予測ができず、彼女は全身の毛が逆立ちそうな快感の打ち寄せる波に激しく襲われた。

「そこ、だめぇ… おねがい! やだ、でちゃう… でちゃうから!」

 意味を理解した村川はそばのバスタオルを美郷の腰の下に入れると、今度は素早く掃くように泉の縁を掻いた。

「ああぁっ… だ、だめっ! それだめっ… もうだめっ!…」

「みさとちゃん!」

 大きく開いた膝の間に頭が入るほどさらに丸くなった美郷の、引き寄せられたつま先が一瞬開いてから固く握りしめられた。

「いやあああぁっ!… ごめんなさい!… い、い、いっちゃ… いくいくいく、いくっ!」

「みさと! おいでっ!」

 彼が美郷の名を叫ぶと同時に、彼女の開いた谷間から堰き止められていた小さな滝がいちどきに迸り溢れ落ちた。



 「泣かないで、泣かないで… みさとちゃん… かわいい…」

 ごめんなさいを繰り返しながら恥ずかしさのあまり村川の胸にうずくまるようにして泣く美郷を強く抱きしめると、彼はその背中をゆっくりとやさしく叩いていた。

「…きらいになりませんか?」

「まさか… もっと好きになっちゃった…」

 彼はそう言うと、さらに力を込めて美郷を抱きしめて唇を合わせた。


(この人となら…)

 背中に伝わるバスタオルの冷たさを感じながら、村川の胸で美郷は思った。

(この人なら、きっと私のことを丁寧に扱ってくれる…)

 それは仕事を一緒にする数少ない機会にも感じていたことだったが、それに誤りはないと思えるようになっていた。

(彼にならどんな相談もできそう…)

 あまりに恥ずかしい果て方をしてからもしっかりと抱いていてくれる村川浩輔の腕の中で花畑に舞い降りていくようなふわふわとした余韻に包まれながら、美郷の眼からうれし涙があふれてこぼれた。

  
  ―完― 

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