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いまやめないで このままでいて
第1章  第1話  10,000メートルの空でとろけて

「だめよ…」

 うめくようにささやく声が口から洩れる。

「はづき…」

 それに応えるように孝弘の声が吹きかけると、彼の両手をつかんでいる両手はもう抵抗ではない別の意思で力が入る。

(だめ… でもかんじちゃう… すごくかんじる…)

 閉じていたはずの脚は理性に逆らって開いていく。

「っああ…」  

 窮屈そうにしながらもショーツに包まれた花芯をしっかりとらえた彼の指先が小刻みに小さな円を描くと葉月の口からたまらない吐息が洩れ、慌ててブランケットの端を噛んだ。

(ああ… かんじる… きもちいい… すごくいい…)

 倒されたシートの上で体が反り返り、ブランケットの下で開いた膝が上がって、前の座席の背もたれに当たる。

「はづき… かわいい… はづき…」

 耳朶をそっと噛まれながら囁かれた孝弘の声で蜜壺がきゅっと締まり、蜜がショーツへこぼれるのを葉月は感じた。

(だめ… かんじちゃう… ううぅ…)

 ブランケットを嚙みしめながら葉月の眉がゆがむ。

 機内用に履き替えていたスリッパが足元にぽとりと落ちた。

(もうだめ… きもちいい… すごくいい…)

 こんなところで、という罪悪感がかえって葉月を昂ぶらせた。

「はづき… かわいいよ… だいすき…」

 追い打ちのように耳元で孝弘にささやきかけられて、葉月はこらえることができなくなった。

 開いた膝で緩んだ空間とあふれ出た蜜とで滑りを得た指の動きが一層早くなり、葉月は昂りの頂きへとたちまち導かれた。

「っあっ… だめだめ… いっちゃうから…」

「はづき… おいで!」

「っあ… だめ… い… い… いくいく、いくっ!」

 孝弘の右腕を握りしめ、その耳元へ押しつけた口から押し殺すように絞り出されたかすかな絶叫は、寝静まった薄暗い機内に絶え間なく響くエンジン音にかき消されていた。

   -完-
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