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初恋を奪った皇太子は、私を逃がさない
第2章 禁断の庭園
そんなはず、ない。

でも、否定することができなかった。

だって、その瞳はあまりにも真っ直ぐで、優しかったから。

「……そうですね。綺麗な花園ですね」

私は、なんとか言葉を返した。

それしか言えなかった。

心臓がうるさくて、言葉がまとまらなかった。

すると彼は、言葉を返さず、ただ無言のまま私の手を引いた。

(え……?)

どこへ?と問いかける間もなく、私は導かれるように歩き出していた。

静かに、だが迷いなく。

彼の脚は迷いなく、庭園の奥──人の目も灯りも届かない、静寂の場所へと向かっていた。

咲き乱れる薔薇のアーチをくぐり、低木の影を抜け、月明かりさえ届かない場所へ。
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